ベタ・スプレンデンス(Betta splendens)

基本情報

名前

Betta splendensは改良ベタの原種(共通のご先祖様)にあたりますので、『ベタ』という名前の由来についても詳しく書かせていただきます。

学 名

Betta splendens

日本語表記

ベタ・スプレンデンス

その他の表記

ワイルドベタ(総称)/ปลากัดภาคกลาง(プラー・カッド・パーク・クラーン)

「ベタ・スプレンデンス」は改良ベタの原種と言われている品種です。

名前の由来は少し複雑で、日本語サイトでは情報が少なく調べるのに苦労しました。

結論から申しますと”Betta”はマレー語の”ikan bettah”に由来するそうです。ikanは「魚」でbettahは「古代アジアの戦士部族」のことを指すとのこと。splendensは学名言語としておなじみのラテン語で「光り輝く」という意味です。

学名はすんなり”Betta splendens“になったわけではありません。
まず、1849年「大きな足(おそらく腹びれのこと)を持つ攻撃的な魚」という意味で”Macropodus pugnax“という学名が付けられました。しかし、Macropodus という属名はすでにタイワンキンギョに使われており、1897年にマレー語のBettahを由来とし、属名をBettaに変更”Betta pugnax“になったのです。
…まだ終わりません。1909年、今度はpugnaxという種名がBetta属のほかの種に使われていることがわかりここでようやく”Betta splendens“へと変更されたのです。

ちなみに、ベタ・スプレンデンスをもとに品種改良されたすべてのベタは学名が”Betta splendens ver.(ver.は変種の意味)となります。例えば、ハーフムーンとプラカットは”品種”は異なりますが”種属(学名)”はどちらも同じBetta splendens ver.ということです。

日本語で名前の由来を検索すると「Bettaはタイの方言~」と出てきますが、れっきとしたマレー語が由来のようです。一部地方でのみこの言葉があてられていたのでしょうか。

ところで、学名とは別でタイでは古くからタイ中部に住むベタ(Betta splendens)のことをปลากัดภาคกลาง(プラー・カッド・パーク・クラーン;『魚(プラ―)・噛む(カッド)・中部(パーク・クラーン)』)とよびます。また、スプレンデンスの体格を改良したものはปลากัดหม้อ(プラー・カッド・モー)とよばれます。”モー”は「ポット」の意味があり、飼育の容器かベタ同士を戦わせる容器のことを表しているのでしょう。

あれ?ベタ・スプレンデンス=プラカット??と思いますよね。

間違いではないのですが、ショップ等で見られるプラカットと呼ばれるものはさらに大きく鮮やかに品種改良されたものです。

まとめ
  • ベタ・スプレンデスは「光り輝く戦士のような魚」という意味
  • 現地ではプラカットとも呼ばれるが、品種改良されたプラカットとは特徴が異なる。
  • ベタ・スプレンデスをもとに品種改良されたすべてのベタは学名が”Betta splendens ver.

参考文献:Martin Brammah. The Betta Bible: The Art and Science of Keeping Bettas (English Edition)

図解

代表的な写真

写真準備中です。提供してもいいよという方お待ちしております。

見た目の特徴

他の品種改良されたベタに比べるとヒレも短くベースカラーは落ち着いた色が多い。しかし、特徴的なエラぶたの色彩は鮮やかでチャーミング。また、ボディ・ヒレの色彩もフレアリング時には花開くように鮮やかになる。特徴的なカラーとしては赤や金になるが青が映える個体も多い。

背びれ、尾ひれ、尻びれにエッジのあるものも多く尾ひれの中央が伸長しているものを「スペードテール」という(マハチャイではなくスプレンデスの地域変異の可能性が高い)。

ボディは体高が低めでシュッとした印象のものが多い。

交配の歴史

ベタ・スプレンデスは品種改良ベタの原種にあたります。

ベタ・スプレンデスグループ(スプレンデスに遺伝子的に近いもの)

ベタ属にはいくつかのグループがあり、スプレンデスグループもその一つです。現在スプレンデスグループは6種が存在します。

B.splendens(スプレンデス)

スプレンデスグループの代表です。

B.mahachaiensis(マハチャイエンシス)

撮影協力:アクアマーチ発寒店様

B.imbellis(インベリス)

撮影協力:アクアマーチ発寒店様

B.smaragdina(スマラディグナ)

B.stiktos(スティクトス)

B.siamorientalis(シャムオリエンタス)

参考文献:Bhinyo Panijpan et al., 2014. Southeast Asian mouth-brooding Betta fighting fish (Teleostei: Perciformes) species and their phylogenetic relationships based on mitochondrial COI and nuclear ITS1 DNA sequences and analyses.

『ベタ・スプレンデンス』への想い

ベタ・スプレンデスは野生種であり、実際に見ると力強い泳ぎと無駄のない体型からワイルドさが伝わってきます。そして改良ベタにはむしろない独特な模様が輝きます(なんとなくタイっぽいデザイン?)。フレアリング時の色彩の変化もベタ・スプレンデスの見どころだと思います!

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この記事を書いた人

1990年生まれ / 男性 / デザイナー@北海道

 『ダブルテール鯉』の美しさに衝撃を受けてベタ沼へ。生物(遺伝学)を専攻していたこともあり、ブログでベタの図鑑をつくってみようと思い当ブログをはじめました。より多くの方にベタの魅力を感じてもらえるよう、ベタ初心者向けの記事~マニアックな記事まで幅広くまとめていきます。

趣味:熱帯魚/ギター/ベース/ピアノ/3Dモデリング/イラスト/テキストマイニング/投資

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